近年、大学進学率が上昇していることもあり、教育費について不安を抱える方もいらっしゃるかもしれません。どのくらい教育費がかかるかは、世帯構成や収入・資産の状況、受験生本人の志望や個性、入試の結果などによって大きく異なります。うわさ話やネットの記事はあまり参考にならないので、行政の情報サイトや各学校のホームページなど客観的な情報を知り、お子さん自身の本音の希望をくみとって、見積もりをなさってください。
特に、以下のような情報に振り回されると危険です。
・私立の中学・高校に入ると、受験対策が充実していて塾代がかからない
←進度が速く検定教科書以外の教材を使う私立に通っていると、いったん授業が分からなくなると個別指導が必要になり、学校外の学費が高くなるかもしれません。
・防衛大など大学校へ進学すれば大丈夫
←大学校の入試は難関ですし、進級の条件が厳しいです。本人の強い意志があるうえで進学することが前提で、万が一退学になったときの心づもりも必要な進路です。
・総合型選抜の入試(大学入試の推薦入試)では、お金をかけて体験を買うほど有利
←最難関校を除けば、英語の検定試験、専門したい分野に関連する資格や単位、安い参加費でできるワークショップやボランティアなど、計画的に努力すればできることで受験できます。
情報収集が大切とはいえ、奨学金ひとつとっても、日本学生支援機構、地方公共団体、各学校の同窓会など色々な制度があり、長年講師をやっていても把握しきれないほどです。以下のようなポータルサイトや書籍で、まずは全体像を把握すると、分かりやすいです。
学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度:文部科学省 (mext.go.jp)
就学を支援する事業の御案内(奨学金制度)|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)
「子どもにかかるお金の超基本」(河出書房新社)坂本綾子 2023
*小学生から20代前半くらいまでの、費用、学習支援制度、家計のデータが概観できる書籍です。
現在の日本では、小学校~高校までの学校の授業を真面目に受け、部活や検定試験など学校から勧められることに普通に取り組んでいるお子さんが、経済的に厳しいというだけで大変なことになってしまうことはあまりないです。就職氷河期の頃と比べると、学習支援制度が充実していますし、大学進学を断念することになっても高卒での就職状況が改善しています。通信制の高校や大学、社会人のリカレント教育への偏見もなくなり、大人になってから自分で勉強する多様な手段があります。過度に不安になり、お母様が無理に無理を重ねることが一番良くないと思います。