前回の投稿では、「きちんと勉強して、その結果検定に受かる」という視点で塾の方針についてご説明しましたが、中3では、実力が足りなくても私立高校の推薦のために検定試験に合格しなければならないことがあります。今回は、「付け焼き刃でも高校受験のために検定試験に合格する」ときの授業について説明します。「関係代名詞、間接疑問文、接続詞、不定詞の熟語などができなくても英検3級に合格できる」と割り切り、中2までの文法や単語の基礎固めをしつつ、不完全でもリーディングやライティングの演習をしています。
・家庭学習では、漢字検定の勉強をがんばるように言う。
私立高校の推薦入試では、「漢字検定3級、または英語検定3級で1点素内申にプラス」という条件が多いですが、英検よりは漢検のほうが、中3までの配当漢字をおぼえれば何とかなる分、勉強が苦手でも合格しやすいです。中3の秋で英検3級に受からない場合、そもそも国語力の欠如ですべての科目が苦手なことが多いので、漢字を学習することに大きな意味があります。漢字検定の問題集で読み、書き、同音異義語、類義語・対義語をおぼえるようにアドバイスしています。
・中2までの文法を固める。
中2までの英文法がグラグラしていると、会話文や熟語の学習がただの暗記になってしまいますし、誤訳やライティングのミスが頻発し、学習の能率が悪くなります。塾では、「完全攻略 中1英語」「完全攻略 中2英語」(文理)「英検4級をひとつひとつわかりやすく」(学研)をよく使用しています。無理に3級向けのテキストを使うと関係代名詞や間接疑問文など複雑な構文でつまずきます。4級の範囲をしっかり勉強すれば3級にも合格できます。
・ライティングの添削をする。
ライティングの答案の添削を受けると、複数形のs、代名詞の変化、過去形と現在形の使い分けなど、中1までの文法でつまずいている点がはっきりします。また、学校の定期テストでは英作文が重視されるので、ライティングに慣れていると内申対策にもなります。
・家庭学習では、英単語の暗記をするようにアドバイスする。
英検の文法問題は、単語を知っていれば得点できることが多いです。「でる順 パス単」(旺文社)のような単語集は1冊おぼえておくほうがいいです。ただ、単語の暗記に時間を使いすぎると典型的な成績が伸びない勉強法になってしまいます。「単語の暗記は、1日30分だけ」というように、勉強時間の配分を決めておくといいと思います。
・英検4級のリーディング問題を多読する。
英検3級のリーディング問題は、単語がある程度難しく、歴史や地理の常識がないと解きにくい話題もあります。いきなり英検3級のリーディング問題をやるとテンポよく英語を読めないので、まずは英検4級程度のリーディング問題から始めています。たくさんの易しい長文を読むことで、中2までの文法や単語が定着します。家庭学習では、「英検4級過去6回全問題集」(旺文社)で、リーディングとリスニングをやるのがおすすめです。