中学受験では、過去問を解いたとき、あまり学力を反映しないこともあります。中学受験では、出題範囲や難易度が中学によってまちまちです。「習っていない問題が、何問も出題されていた! 合格最低点に全く届かない! もうダメだ!」となっても、慌てないでください。中学受験の問題は、問題文を丁寧に読めば推測できることが多いので、学力相応の難易度の問題なら、慣れれば解けるようになることが多いです。制限時間内に半分も解けない場合も、解答順序の工夫や、問題の取捨選択を身につければどうにかなります。
逆に、過去問を分析して類題を解かせる塾に通っていると、過去問の得点が実力より高く出てしまうこともあります。解き方を暗記してあてはめる癖がついていると、本番では過去問演習より得点が低くなってしまいます。類題を解くことで、問題を読み取る力、試行錯誤する力、表現力などを獲得するのが本来の塾の利用法です。塾の宿題やテストに追われて精神的な余裕がなくなると、どうしても暗記中心の勉強法になりやすいです。出題形式が変わると同じ考え方の問題でも解けなくなるなど、危うさがある場合は、いったん目の前のテストは捨てて、基礎的なテキストに戻るといいかもしれません。
また、漫画で知られるようになりましたが、中学受験では、過去問の答えを写すなどの不正行為が起きてしまうこともあります。小学生は、よほど自立心が育ってなければ、高校受験生や大学受験生のように、自分で情報収集して志望校を変更したり、サボり、反抗といったアクションを起こせません。もう無理だと悟って苦しんでいても、全力で励ましている周囲に言い出せないこともあります。講師や友達から指摘されるより、お家の方が「無理させてごめんね」と言葉をそえて表面化するほうが心の傷になりにくいです。講師にとっては、日常業務の一つで特にどうとも思わないので、答案に不自然なものを感じたら、塾に相談なさってください。