2020年以降、小学校の英語学習では、小3から英語が必修で、小5~小6では週2回程度、国語や算数などと同じ教科として英語の授業があります。小学校から英語を学習している生徒さんたちが既に中学生ですが、英語で表現する力は高いと感じます。特に英会話などを習っていなくても、中2くらいで、だいたいの意味が相手に通じる程度に英語を使うことができます。
一方、文法が分からなくなり自信を失ってしまうと、以前よりも対応が難しいです。大雑把には、小5~小6で初歩的な助動詞、疑問詞、不定詞、動名詞などにふれ、中学で体系的に文法を理解するという流れになっています。仮定法、使役動詞、不定詞やthat節の熟語など、以前は高1で学習した文法が中学で一通り終わり、高校では英語の運用するトレーニングが始まります。小学校で遊び半分に授業を受け、中1でも中学生らしくテスト勉強できず、中2になってしまうと、I am play tenisu. と書くような英語力のままで、It is ・・・to・・・.のような構文に直面します。こうなると、本人によほどの自覚と計画性がないと、中学英語が不完全なままになってしまいます。
また、最近は中1で英検の3級や準2級をとることが普通になり、勉強が進んでいるクラスメートに圧倒され、「もうだめだ」と思い込んでしまうケースもあります。数や曜日のスペリングも分からないまま、以前の高1レベルの英語力を持つクラスメートと一緒に授業を受けるのでは、ヤル気を失うのも無理はないと思います。
塾では、英語が完全に分からなくなってしまった生徒さんには、小学生向けのワークや、中1の文法の問題集からやり直しています。中3で完全に英語が分からなくなっていても、中2の前期までの文法や単語ができていれば、都立の入試問題が少しは解けますし、高校の単位もなんとかなります。
小学生向けのワークでは「5分間復習プリント」(受験研究社)や「ドリルの王様 英文法」(新興出版社)、中1の文法書では「完全攻略 中1 英語」(文理)を使っています。小学生向けのワークは切り取り式で、数枚ずつ書き取りをしながら、文法や基本単語の復習ができます。「完全攻略」は、自習しやすく、無理なく公立高校の入試レベルまで積み上げられます。「量をこなした、がんばった」と思えるだけでも違うので、最初は易しい英文にたくさん触れることを重視しています。
基礎が身につくまでは、定期テストの得点を気にしないでください。現在の定期テストでは、中1から、ある程度の英語力を前提とするリスニングや英作文が課されることがあり、試験範囲の文法や単語だけ学習しても、なかなか得点できません。中3になると、環境や文化などについて、日本語でも全ての学生が答えるのは難しいような自由英作文が出題されます。文法や単語が身についていないのに「中間テストで80点以上取る」というような目標をたてると、試験範囲のテスト勉強をしても歯がたたず、「勉強したのにだめだった」というマイナスの体験をしてしまいます。兼学塾では、大変な状況のテストの答案を拝見しても、「スペリングで減点されていても、積極的に文を書いたのがよかった」「amとdoを使い分ければ正確な英文になる」というような言い方をしています。
家庭学習では、学校の教科書の本文の音読、英検5級・4級向けの単語集の暗記など、一人でコツコツできることに取り組んでほしいです。小5~中1の教科書を、丸暗記するくらい音読するだけで、リスニングやライティングが楽になります。また、単語のスペリングが正確だと、英作文の減点が少なくなり、自信を持てるようになります。英検を目標にして単語・語句を暗記するのがおすすめです。ただ、単語の暗記ばかりする習慣がつくと、大学受験で失敗する原因になり長期的には良くないので、「1日1ページ」のような学習計画が望ましいです。